2014年8月27日水曜日

融解

 自分がステージ産業の世界に飛び込んで22年の歳月が流れようとしている。
その間、さまざまな人に出会い、友人を増やし、また逆に敵対する関係を作ってしまったりして今に至ります。仕事内容も、変化を続け、今では海外製品の販売を主体にした業態になりました。

 7年前に会社を設立したとき、まさか自分が商品販売を主体にした仕事をするとは想像すらしてませんでしたが、今はまさにそのど真ん中にいて、しかも会社を経営するということに真剣に向き合うがあまり、社員に対して無理を言ったり、見栄を張って、福利厚生に気を使ったり、社員規則の整備、事業計画書の作成、そして組織体制などを考えて、新卒採用をしてみたりと、この1年、自分らしくない考え方に基づく生き方をしてきたような感じがします。(ちょうど、経営塾に参加してから1年になり、来月はようやく卒業です)

そんな、自分らしくない行動から来る、歪みが、たくさんの嫌な事を発生させ、心の中の嵐が吹き荒れ、休みもない毎日がストレスの頂点という状態が続き、人とのおつきあいも、うまくできていない故、感じる孤独感や、社員や経営塾の仲間にも伝わらない自分の気持ち、それに対する怒り、いら立ち、やりたい事が実現できないはがゆさが、満ち満ちて、心の支えが折れそうになる。そんな1年だったような。。

 最近になり、久しぶりに実家に戻り、お墓参りをして、四国の瀬戸内海を眺め、海から届く潮風に洗われたせいなのか?ようやく仕事について、働くことについて自分なりの解を見つけ、自分を覆っていた鎧のようなものがとれてきたような気がします。

昔、出会い、もう会う事はないのかもしれないとおもっていた人とも会話し、きらいな人物や、自分にとって嫌な事に対する自分の姿勢にも、ゆとりが出てきたような。まるで何か固まっていたものが融解していくような、そんな気がして、また新しい事を始める力が蘇りそうなそんな気がします。

きっとひどい事を言う人も、悪い事を企み、ひどい仕打ちをする人や、お願いしても行動しない人も、熱のさめた態度の若者も、人をばかにする態度の人もすべて、自分にとっては些細な事で、彼らの人生と自分の人生は交差することもなく、何も気にする必要などないし、伝わらない心も、押し付けるのではなく、染み通るようにしよう。そして、そんなすべての事が、融解した今、昔のわだかまりもなく、すっきり晴れ渡る水平線の向こうに、固まっていた鎧は解けて、きえてしまったと言えるようになった。今日の気持ちです。
これからの人生は、できるかぎり、いらいらしないように生きていきたいと思います。






2014年8月10日日曜日

基準を持つ事の意味 CIEカラーエンジン

 
 



ここのところ、韓国でピクセルマッピングやノードについて解説したり、他方では劇場のインフラとしてのネットワークについて言及したりで、頭がついていけてないというより、やや限界を感じているのが実情ではありますが、さらにここで、LEDの照明器具についても話さねばならないと感じて、新しい記事作成です。

当社で扱うilumoという照明器具の目指している先がまだほとんど伝わらないのは、その機能が見た目には地味で、今後のLEDライティングにおける根源的な問題を解決する事について、多くの方の理解が及ばないからだろうと想像します。やっぱり見た目にわかりやすいエフェクトっておもしろいですからね。

ilumoというLED器具のコンセプトは、LEDにおける問題点の解決です。
これまで、LED素子というのはその色みが統一できず、購入した時期などで色彩が異なるという事がありました。これをソフトウェアによるキャリブレーションで統一することで、どんな時も同じ色彩の器具が流通可能になります。このカラーキャリブレートは、RGBの混色の際、定義された正しい色温度の白を生み出します。

しかし、この白もそうですが、カラーミキシングで生み出す色も同様に、基準となる”ものさし” がなければ、それらの色はあくまでメーカー基準の色彩となり、メーカーごとにさまざまな色が存在することになってしまいます。 基準がなければ、この色が何なのか説明することもできないし、他のLED器具にあわせる事もできない。

そこでilumoは、RGBのレベルを、CIEが定義するカラースペースに基づいた数値に変換してLEDをドライブします。これはキャリブレーションモードと呼ばれるモード時のみですが、このキャリブレーションモードを使用した場合、DMXバリューにより操作されたRGBの色彩は内部でCIEカラーエンジンに渡されX/Yの座標軸の数値に変換されます。

ilumoはこのXとYの数値に基づき、LEDをドライブします。そのため、出力される色彩は正しくカラースペース内に存在する色を出力することになります。
この基準値を持つという事は重要で、これらを他のメーカーもすべてが行えば、どのLED器具で色を作っても、近似した色彩になるはずで、大きく異なることはないと言えるのです。

(ilumoのこのシステムはOEM供給しており、アメリカのアポロ社が採用しています)

これはカラーパレットの場合も同様で、ilumoのもつカラーパレットはLEEフィルターの番号で登録されていますが、これらは3200Kのハロゲンに実際のLEEフィルターをかけて出力される色のX/Y座標値(CIE)になります。いかがでしょうか?これらは重要なポイントだとは思いませんか?また、ilumo以外でこうした取り組みをしたメーカーがあったでしょうか?しかし、このコンセプトをいくら説明しても、こう言う人がいます。

曰く、「キャリブレーションは、メーカー各社で行ってますよ」しかし、その基準がないでしょう? 曰く「カラーパレットなんて、今までもあったでしょ?Leeフィルターの番号なんて、ありふれてる」いや、それも基準がないでしょ?しかもカラーマクロ的な発想でしかない。。また、バリアブルな色温度のパレットもあると言いますが、RGBだけを操作して、つまりカラーピッカーだけもしくはHSIのみで、4色、5色をミキシングして正しい色合いを出すというコンセプトなんてあったでしょうか?

確かに派手さはないし、特殊なエフェクトもないilumoですが、大事なのはこのコンセプトです。LEDが持つ根源的な問題点を解決しようとする姿勢に私は尊敬の念を抱くのです。だから、共にこれを広めたいと。。 私はiumoのこうした取り組みを小さな会社ですが、応援したいという想いに駆られます。

2014年8月8日金曜日

韓国映像会社のスピード感と柔軟性




 7日の早朝、羽田から韓国へ向かい、その日のうちに帰国するという慌ただし出張から帰りました。
(羽田空港は、外国出張の際、かなり便利です。もっと便を増やしてほしいと願ってます)

写 真は韓国のBasictechというLEDの会社さんです。Catalystの件で相談があって伺いましたが、会社にはまた別の映像会社GemMedia の社長も来ており、両社ともすでにカタリストユーザーという点では、うちは映像分野に関して、韓国の会社のほうで認知度が高いのかもしれません。

当 初は、カタリストの説明で伺ったつもりが、すでに若いエンジニアの方々は、皆、カタリストに精通しており、技術部長は以前、当社に来た事もあって、全員が 実はカタリストのプログラムはスペシャリスト級だったという落ちです。みなさんの要望は高く、もっと裏技を知りたいとか、こういう場合には、どう対処すれ ばいいかという具体的な話で、現場をこなしていない私の弱さが露呈するという現実にぶつかって、やや落ち込み気味です。














韓国の企業は、カタリストのようないわば映像業界では異質なソフトウェアについても、UKのXLVideoが使っていると知れば調査し、日本の会社にも聞いたりして、すぐに現場投入、そして実践の中から自分たちの使い方を生み出して、順応していきます。

こ れまで使ったことのないショーコントローラーについても、導入について、ためらいがなく、私が実戦での投入はまだ経験がないと伝えても、「うちで導入して テストしてみよう 」と、新しいシステムへの躊躇がありません。このスポード感は100名を超える企業でありながら、社長は私よりも若く、社員たちもほとんどが若手という組 織故のスピード感かもしれません。正直、こういう雰囲気は経験した事がなく、驚きました。






  社長は彼自身もカタリストの操作に慣れており、社長でなければ自分がカタリストプログラマーになりたかったというほどにこういう技術が好きなようで、 DMXや照明についての知識もインターネットで調べて、吸収しています。この柔軟性と判断のスピードは、尊敬すべき点で、私としても、非常に勉強になる1日でした。
(最後の写真は、漢江の夕暮れ。でっかい川ですね)

こうした点を見ても、日本の電機メーカーが、韓国のメーカーに商売で負けた理由がなんとなく実感できた次第です。