2020年5月31日日曜日

潮目の変化


 長い自粛期間が終わり、この二ヶ月におよぶ自粛効果は、本当にあったのか?おそらく、そろそろ検証が行われるだろう。そして世界中で言われているように、日本は異次元的に緩いロックダウンでも、ほぼ感染拡大を抑えられている上に驚異的に死者が少ないことは事実であり、誰もが思う果たして緊急事態宣言は必要だったのか?という疑問が大きく首をもたげてくるのである。 しかし、既に潮目は変わってしまった。。

東京都のロードマップでは、6月19日以降を目指して、1000人規模のイベントなどが行えるようになる上に他県への移動も制限がなくなるというが、それは決して元に戻れるということと同義ではない。この感染症による新しい生活スタイルは、既に植え付けられた恐怖感と日本国民独特の同調圧力により、そう簡単に以前と同じに戻りはしない。この状態は、長期視点で見るべきだと誰もが感じていることだろう。

より大きな問題は、感染症による生活スタイルの変化ではない。これはあくまで新しい世界、ゲームチェンジのトリガーでしかなく、ワークスタイルの変化、東京都心から地方への移転の加速、イベントやエンターテイメントの再定義、企業の営業活動のオンライン化、インバウンドから国内需要へのターゲット変更、グローバリゼーション断絶による企業戦略の見直しなど、パラダイムシフトが加速するのが、馬鹿でもわかるくらいに明確になっている。元に戻るどころか、全く異なる常識、ルール、ワークスタイル、生き方、全てが変化を加速させている上に、オンラインへの過度な依存が強まっているというのが現実である。もう今までの仕事の仕方も、考え方も通用しない。

こうした中、小さいながらも、自分の会社を持つ身としては、どうやって自分の会社を存続させるか?というテーマに取り組んでいるが、既に3月の時点で、私はこの問題は短期で解決することはないと確信していた。日本国内において、感染拡大を封じ込めたとして、どうやって他国と人的交流を行うのだろう。すでに先んじてコロナの封じ込めに成功した各国も、第2波の可能性は否定しない。その意味でも、この問題はすでに長期化が確定しているのである。海外への渡航は長期間不可能、国内でも大規模なイベントは長期間、行うことができない。そして人のライフスタイルは大きく変貌した。

ワクチンの開発や重篤患者への特効薬など、医療による新たなソリューションで、この問題は年内にも沈静化するという声もあるが、たとえ症状改善と治癒の手法が見えてきても、多くの人の意識に、ここまで強く、すり込まれた恐怖や人と密接に関わる抵抗感を払拭するのは難しい。さらには新たなタイプのウイルスが蔓延する可能性を意識すると、どうやっても、元の日常に戻れないのは、容易に理解出来る。。現在の状況は、この問題の長期化の入り口であり、社会が新たな形に変化していく過程の入り口にすぎない。

この絶望感の破壊力は凄まじい。4月と5月だけでなく、夏場もかなりの確率でイベント等は自粛であり、今年一年は、この状態が継続するのだ。確かに一時的な緩和はあるだろうが、断続的に自粛と緩和を繰り返しながら、今年一年はこれを継続するしかない。しかし、その間、大型イベントなどを開催するイメージができるだろうか?そしてオリンピック中止ともなれば、来年もこの状態が継続する可能性がある。オリンピック中止と言うのは、日本の経済にとどめを刺すほどのインパクトがあるだろう。景気は悪化どころか、ボトムに沈むことは、誰でも想像できる。果たして、来年、この状況で、華やかなイベントやエンタメの仕事があると想像できるだろうか?来年は、311と同じくらいに、経済がシュリンクした一年になる可能性は高い。すでに世界的に見ても経済への打撃は瞬間的にも凄まじい。まだ高いポジションを維持している株価が2番底へ向かうのはあり得ると思う。

この悲惨な状態の中、3月ごろに話をした照明さんが、一年くらいは収入がなくとも継続できると、豪語していたが、もし2年継続したら、いや、数年間、今までのような仕事がなく、これまでの業界そのものが蒸発するとしたら、そう楽観的に構えていられるだろうか? 自分の仕事だけでなく、場合によってはインバウンドの観光業のように、業界ごと蒸発する可能性だってある。それがゲームチェンジ、社会全体の価値観の変化、パラダイムシフトという状態なのだ。これまで普通だったことがそうではなくなる。その変化の津波に、どう対応するのか?これが経営者に求められる挑戦である。

先に書いた通り、私は3月の時点で、この問題が長期化になり、自分の会社に大きな事業転換が必要になることは想像していた。実のところ、昨年からすでに、当社は事業転換を進めていたこともあり、新事業への転換そのものは、想定内だが、まさかここまでそれを、加速させることになるとは思わなかった。これを推し進めることにより、既存顧客のサポートや製品提供も継続することが可能であり、一時の痛みより、重要なことは存続することだと自分は思っています。今後、マイルランテックは、これまでお付き合いのあった皆様から見るとイメージしにくい事業に見えるかもしれませんが、何卒、ご理解いただけたらと思います。まずは存続が優先です。