2017年1月24日火曜日

ModuloPlayer













少し遅れての展示会後の感想です。
光和さんの展示会が終わりました。昨年はトータルショーコントロールというテーマで
イベントスペースの演出に関わりましたが、今年は自社ブースにて新製品の発表となりました。ここで、当社は次世代の映像技術製品、Modulo Kineticを世界に先駆けて、日本で披露できたことに喜びを感じます。来場された方々で気付かれた方にはご説明しましたが、来月のISE(アムステルダム)では、このキネティックとプレイヤーが展示会で披露されますので、向こうに行かれる方は、ぜひ、ご覧いただきたいと思います。

Modulo Pi社は、すでにフランスで驚異的に支持者を増やしています。おそらく、ISEでワールドデビューをし、世界の人の目に触れた時、また大きな反響があるでしょう。非常に優れた映像再生ソリューションと映像演出ソリューションです。そして現場を知り尽くした開発者が作り上げる洗練されたソフトウェアは、多くの現場の人の支持を受けるでしょう。これまでカタリストを販売してきた自分ですらも、その圧倒的に使いやすいユーザーインターフェースの虜になりました。

これは間違いなく社長のYannickが映像現場に深い知識を持っているとともに、彼らの周りにいるフリーランスが現場でのフィールドテストを繰り返し、それをフィードバックしている結果によるところが大きいでしょう。そしてそれを彼らの驚異的な開発能力とスピードが実現していると思う。

 Modulo Playerのよさは、やはり圧倒的な使いやすさ。
そのユーザーインターフェースは特筆すべき点であると思う。これまでメディアサーバーと名のつくソフトウェアベースの映像プレイヤーは決して使いやすい操作パネルではなく、その多くが外部に特殊なコントローラーを要求した。それは多くが照明卓であった。しかし、Moduloはそれを否定し、ネットワーク経由で接続されるリモートソフトという方法で、コントロール環境を提供する。そのリモートソフトは、洗練されたインターフェースにより、 見た目に勘で操作が可能な上、グラフィックカードの設定も全て、このリモートソフトで設定できるため、サーバー側にキーボードやマウスなどの接続は不要です。コントロールソフトのみで全ての操作が完結するのは、非常に使い勝手が良い。

このこだわりは、ショーの編集作業などを映像再生のハードウェアから分離することで、サーバーへの負担を減らし、操作ミス等による不具合を減らすためである。全ては安定性へのこだわりから来ている。これはコーデックの選択にも現れている。特殊な専用コーデックでは汎用性がなく使いにくい、かといって数多くのコーデックをサポートすると、システムは安定性が損なわれる。そこで一般の映像制作現場でエンコードできるProressとH.264などの限定されたコーデックのみをサポートし、レガシーコーデックを全て捨てることにより、サーバの安定動作を担保している。

ハードウェアは見た目には普通のラックコンピューターだが、マザーボードからSSD、AMDのグラフィッカードなどの全ての点で、こだわりの選定が感じられる。AMDのグラフィックカードが故にGenLockも可能なうえ、出力ポートのEDIDもロックすることができ、安定性と同時に手早いセットアップと非常に高い描画パフォーマンスが得られる。
キャプチャーカードにDeltaCastという選択も、同じく、こだわりを感じる。当然ながらこれらハードウェアのセットアップは特別なチューニングが行われているようで、後からウインドウズに手を入れると、それがよく分かる。

最先端の4Kプレイヤーとしてもまた、プロジェクションの際のブレンディングとか、各種のエフェクト、マッピングに関する機能などを搭載したプロジェクションマッピングツールとしても、そしてこのモデューロから外部機器を制御可能なため、例えばプロジェクターの管理、スイッチャーの管理などを含め、映像演出の全てを一括管理するショーコントローラーとしても活用できる。もちろんモデューロをMIDIなどで外部から操作したい人向けにもポンだし的な使い方ができるような工夫がある。最近は、フランスで照明さんが使いたいという要望も増えて、照明卓をつなぐモードも用意する予定です。

こうした現場から要望に対し、モデューロパイ社は、非常に柔軟かつ迅速に対応してくれる。この現場重視の姿勢は、私が経験したカタリストにも通じる文化であり、この姿勢が、先月のディズニーランドパリスにおけるスターウォーズ現場への納品が決まった理由でもある。もう古めかしいメディアサーバーはいらない。今、新しい次元を開いた、次世代のメディアサーバーが、映像業界の今の不満を解消するでしょう。




2017年1月5日木曜日

ショーシミュレーションとデザイン

 新年明けましておめでとうございます。
年明け1日目はカタリストのセットアップとModuloによるネイティブ4K出力のテストなど映像関連が中心の1日でした。本来なら、Luminex Japanの活動をすぐにでもスタートしたい想いですが、願い叶わず、未だ待ちの状態にあり、あちらの仕事についても、やるべきことが積み上がってはいるものの、マイルランテックのお仕事もこなさねばなりません。

そんなわけで、今年はまた以前にも増して、時間が足りなくなるのでは?という不安もありますが、否、今年こそは、これまでの悪習慣を断ち切り、残業削減、さらには酒を減らし、若い頃の趣味であったマリンスポーツを再開することを目標に、しっかり休みは取るつもりです。もう仕事に振り回される毎日はうんざりです。自分の心を休める時間も必要です。これが個人的な新年の誓いです。

さて、そろそろこのブログも終了と言いつつ1年が経過し2017年の1月がスタートしました。当初はショーコントロールとかショー演出の技術について語るブログとしてスタートしたパート1から数えると8年もブログを書き続けてきたことになります。このブログ終了も発言通りにはいかないみたいですが、確かに記事は減りつつあり、アウトプットし続けたこれまでを振り返りつつ、今年は少し自分へのインプットを増やしたいと思います。

今年2017年は、オリンピックも近い上に、MedialonがBARCOブランドになったこともあり、当社が創業当初よりメッセージとして業界に訴え続けたトータルショー制御の概念も陽の目を見る可能性が出てきました。きっとMedialonとショーコン分野も、これまでのニッチマーケットという印象から脱却し、この業界で広く認知されるようになるかもしれません。そうなったら、これを続けてきた甲斐もあるというものです。

しかし、今年、私が非常に興味を持っているのが、ショーシミュレーションと映像演出のデザイン分野で、これはオリンピック以降はスタンダードなシステムになることは確実だと考えています。これは当社でいうところのModulo Kineticであり、3DモデリングデータとUVマップなどという使い古された話ではなく、プロジェクションのシミュレーションも、プロジェクターのレンズシフトデータのシミュレーションとかも含み、さらにカメラを使った自動補正とか、センサーデータを受けてインタラクティブに変化する映像などの複雑な演出を一括管理するプラットホームという分野の話。

同じ分野に入ってくるだろう他社の製品で言えば、d3を筆頭にクリスティーのPandrasBoxや、もしかするとAVスタンフルのメディアサーバーなんかも、狙ってくるんじゃないかと想像します。ちなみにBARCOもd3的なメディアサーバーを開発しているということでしたが、当社のキネティックは、かなり先を爆走中です。それを見ていると素直に、将来、映像機器のトータル制御はショーコントローラーではなくメディアサーバーが
シミュレーションごとまるまるパッケージ化することになるんじゃないかというのが、最近の自分の予想です。もちろん条件制御でマルチタスクを動かすとか、そういう芸当はMedialonの役目なので、本当のショーコンというニッチな分野は揺るぎないんですが。。。

 多くの映像に関わる人の場合、特に放送とかは4Kの次の8Kとか、やたら解像度の話に行きたがりますが、舞台演出とかショー演出の分野では、いかに短時間で複雑な補正を可能とするか?とか映像を主体に各種機器のトータル制御、例えばスイッチャーとかプロセッサー、プロジェクター、メディアプレイヤーを1つのタイムラインで管理するような方が重要で個人的にも面白いと感じる世界です。ここに3Dシミュレーションが加わり、これまで照明だけの世界だったシミュレーションが映像分野でも可能になると、これは画期的なことではないかと思うのです。

つまりメディアサーバーのトレンドは、すでにプレイヤー単体としては終わってて、シミュレーションとショーコントロールとインタラクティブ、例えばステージセットの動きに合わせて映像が自動でマップされてトラッキングするとか?そういう演出。さらに映像演出のベースとなるマッピングやブレンディングや球体補正などを自動化する機能、これらを1つのソフトウェアで統合して提供するデザイン環境という分野、そしてそのオペレーション(プログラミング)というトレンドに移りつつあると。かなり大胆ですが、自分はそう感じています。それゆえ、すでに2年前からモデューロを取り扱い始め、今年、ようやく、本命のキネティックという次世代メディアコントロールプラットホームの製品がリリースされるわけです。ぜひ、来月のISE(アムステルダム)では、Moduloのブースにお立ち寄りいただきたいと思います。(初出展です。ちなみに)

今年、当社はカタリストで訴え続けた映像演出をよりアクティブに舞台演出に組み込み、照明と映像の垣根を超えた新しいセクションを誕生させるというキーワードから卒業し、次はより映像主体に、どうやって複雑なショーを画面の中でプログラムしつつ、それを現場で再現するのか?複数のメディアプレイヤーを同期し、1つのプロジェクションの中に統合していくのか?インタラクティブな映像演出をいかに大胆かつ簡単に提供しうるのか?等について研究し、Modulo Kineticとともにその解を業界に披露して行きたいと思っています。本年もよろしくお願いします。