2015年11月9日月曜日

精神論と合理性

 一時期、流行った書籍に”失敗の本質”という本がありますが、非常に話題になったので、ご存知の方も多いと思います。現代の日本社会と太平洋戦争中の日本軍との間に見られる共通した問題点を浮き彫りにしてくれるものでした。
(自分は入門編のほうを読みました。こちらのほうが簡単に読めたので)

この本を読んで、感じるのは日本人が、 今ある技術の延長線上で練磨することに価値観を持ち、プラットホームとなる土台が変化することを想定しないことで、変化する時代、進化する技術への対応が遅れ、間違った方法論で自滅したというものです。

その本質には、日本人の持つ忍耐や努力、精進という言葉にも見え隠れする気への強い信頼があり、情熱や気合いといった漠然とした精神論に依存するがゆえに客観的判断ができず、またできたとしてもその気持ちが邪魔をし、結果的に問題を先送りしたり、あえて見えないふりをすることで、解決しないことが大きな問題なんだと思います。

職人的技能について、練磨することに美徳があることに異論はありませんが、時代に合わせて適応する能力と判断力については大事だと自分は思います。それは仕事全般に当てはまると思うんです。1つの技能、1つの方法にしがみつくのではなく、時代に合わせて、自分を変えていくことの重要性。実は技術分野の人間にも、この考え方を理解しているようで、実は、自分の覚えてきたやり方を変えることの恐怖から、1つの方法論にしがみつく人が多いのも確かです。年齢に関係なく、自分の立場やプライドを守るため、必死に変化を拒む人はいます。それがもっとも大きなリスクになることを知らず。

自分も情熱や気合いで育った世代であり、気は心とか、やる気を重視する人間ではありますが、技術分野においては、あっさりとこだわりをすてる身軽さをもっていたいと思っています。これまでのやり方が突然、通用しなくなったり、古い考え方が通用しなくなる。それは会社経営も同様ですが、商売の方法(やり方)は時代に合わせて変化させなければならないと思っています。

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