2014年11月30日日曜日

舞台向けインフラの役割

 もちろん音響と照明は違うし、映像業界もまったく異なる価値観をもつ人たちが活動していて、それぞれのカテゴリーを超える事など決してないというのは、現場だけでなく、販売業界も同様な気がします。これは日本だけでなく、世界中同じで、照明的な価値観をもった人と音響の人たちでは、まるで違う世界の住人という印象で、それらが交わることなどないように思えます。

しかしながら、ネットワーク技術のインフラ部分については、皆が同じプラットホームに乗ってくる訳で、ネットワーク化するというのは、つまり皆が同じ技術基盤の上に立つことになります。当社のGigaCoreの場合、グルーピング(VLAN) が可能で、今後の照明バックボーンにおいては、IPインカム などの登場で、照明回線を使いながら通話なども可能になるし、これらは近い将来、需要が高まると思います。(コンサート業界よりも、劇場などの設備業界のほうが、その恩恵は大きいでしょうから、そこから普及していくでしょう)

しかもこれらは映像機器の制御についても同様になりつつある。すべての分野がイーサネットを使うからとて、求めるものが異なるわけだから、1つになりえるはずもありませんが、ただネットワーク機器に求める機能や品質は同じだと思います。

さて、劇場分野において、ギガコアを利用した次のステップに考えられるのが先のIPインカムですが、当社が推奨するリングトポロジーのバックボーンシステムでは、おのずと劇場の広範囲にギガコアが配置される形になります。そしておそらくそういう箇所はインカムがあると便利な場所になることでしょう。例えばフロント、シーリング、舞台の上手・下手、奥舞台などです。

IPインカムは、おそらくPoE対応のものになるでしょうから、ギガコアはPoEオプションを搭載したものが必要になります。リングで構成されるバックボーンから1つ下に降りた箇所でPoE対応のギガコアを配置するのもありかもしれません。いずれにせよ、劇場にインフラ設備さえあれば、インカムも照明の制御回線にも、どちらにも利用できるということです。

そして次にこのネットワークシステムの上に乗ってくるのがプロジェクターの制御信号などでしょう。劇場には最近、Barcoやクリスティーの大型プロジェクターのほか、Panasonic、NECなどのプロジェクターが設置されています。このプロジェクターは、外国製以外のものでは、PJ-Linkというイーサネットベースのプロトコルにほとんどが対応しており、イーサネットに接続して、コントローラーを設置することで、任意の場所からランプ制御が可能なほか、ランプの点灯時間や現在の状況をモニターすることが可能です。

もちろん、BarcoやChristieなど、プロ用イベントプロジェクターも同様にイーサネットベースの制御が可能なため、当社のMedialonなどを使う事で、任意の場所からの制御とモニタリングのシステムを構築可能になります。

将来、劇場やホールなどの設備においてネットワークシステムは、インカム回線にも、映像機器の制御回線にも、さらにはOSCやMIDI、タイムコードの送信など、同期信号のインフラとしても活用されていくことは間違いありません。特に照明が設置するイーサネットのインフラは、照明だけでなく、インカム、映像機器制御、監視モニター、キューコールシステム、舞台演出の主要な通信インフラになるという事を想定して、設置していくことが望まれます。




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